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いつもの駅のホーム・・・
 

僕は・・・待っていた。

あなたが、電車から降りてくるのを・・・

ずっと・・・

ずっと・・・

待っていた。








三番線のホームのベンチに座って、人の流れをぼんやりと目で追っている・・・

約束の時間になっても、あなたは現われない。

10分・・・15分・・30分・・・一時間・・・二時間・・・





待ち人は来ない。
身体は、すでに冷え切ってしまった。
駅員が、さっきからずっと座ってる僕に気が付き、声をかけてくる。




「どうされました? どこか気分でも?」

「いいえ、大丈夫です。」



俯きがちに答える。
人の顔を見るのが、嫌だった。





もうすぐ、最終電車が入ってくる時間だ。
ずっと電車にも乗らず、ただベンチに座りこむ僕の姿は、
流れて行く人の目に、いったいどう映っているのだろう。




酔っ払いの荷物を狙う不審な人物?

それとも自殺志願の若者?

僕は、コートのポケットの中で握りしめていた、携帯電話を取り出す。

見慣れた待受画面が、手の中で冷たく光る。

メールも、着信の後もない。

急な、仕事で連絡が取れないのか・・・
もしかしたら、今、向かっている途中なのかもしれない・・・

いろんな理由を並べ立てて・・・それでも僕は待っていた。








電車の到着を告げるアナウンスが響き渡る。

最終電車が、ホームに滑り込んできていた。
扉がゆっくりと開き、家路に帰る人々がホームに溢れる。




あなたの姿を探す・・・
祈るような気持ちで・・・




いない・・・
どこにもいない・・・




無情に扉は閉まり、最終電車がゆっくりと去って行く。




僕は、ふらふらと歩き出していた。
改札へとむかう人の群れにまぎれるように、ただ人の流れに身をゆだねる。



僕の指が、半ば無意識に、携帯の押し慣れた短縮ダイアルを押している。




あなたの番号・・・
なぜもっと早くかけなかったのか・・・




わかっていた。
かけるのが恐かったんだ。




(・・・現在、その番号は使われておりません。番号をお確かめうえ・・・)






人に背を押されるように、改札を流れ出た僕。

目の前を、寄りそうにして歩く恋人達。

幸せそうだ・・・

視界がにじむ・・・
恋人達がぼやけていく・・・
目が・・・

目が濡れていた。






ああ・・僕は、泣いているんだ。

知らない人々が振り向きざまに、変なモノでも見るように、通り過ぎて行く。





何で泣けてくるんだろう・・・

そう・・・僕にはわかっていた。
今夜、あなたが来ない事・・・




僕は、そのままずるずると座りこむ。
もう、一歩も歩く気力がなかった。
涙が止まらない。






そう、あなたは来ない・・・
永久に来る事はない・・・





だって
あなたは
もう・・・





生きてはいないのだから・・・


僕は、いつしか声をあげて泣いていた。






誰かが僕の肩を強く揺さぶって、何かを言っている。
でも何を言っているのか、わからない。
僕の耳は、もう何も聞こうとはしなかった。




その人は、僕を立ちあがらせると、強い力で僕の手を握り歩き出す。
僕の事なんか、ほっといてよ。
そう言ったつもりだったが、声にならなかった。





有無を言わせないような力で、僕の足は、引きずられながらも動き出していた。
本当は身動きすることすら、厭わしいのに・・・
僕は、されるがままだった。





手を繋がれたまま、子供のように泣きじゃぐりながら僕は歩いた。

どのぐらい歩いたのかわからない。
背中を押されて、車へ乗りこんだ。





僕は、一体何をしているんだろう・・・
そんな考えが脳裏に浮かんで消えた。






(もう、どうでもいい。何も考えたくない。)







あの人はいないのだから・・・
僕は、一人なのだから・・・





また、哀しくなって僕は泣いた。
涙が溢れ出し止まらない。





握られたままだった手を、勢いよく引かれた。
そして、そのまま僕は強く抱きしめられる。





エゴイストと煙草の香りがした。



「好きなだけ泣け・・・」

耳元で囁かれた。
低く、しわがれた声だったが、優しい声だった。


背中を撫でる大きな手が、限りなく優しい。







少しだけ・・・
僕は慰められたような気がした。

































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2009,06,21

素敵サイトさま、1件。1月31日。じゅん創作、運命は、奪い与える。本編、番外。全掲載完了。
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