×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
授業を受ける気分じゃなかった。
さぼる事を決めて、生徒会室に向かう途中でそいつに会った。
遠目からでも、そいつが今にもぶっ倒れそうなのがわかった。
ふらふらと歩いてて、まっすぐに歩けていない。
気分でも悪いのだろうと、声をかけようとした。
その瞬間、そいつの体がぐらりと傾いた。
慌てて駆け寄り、そいつを抱き止めようとした・・・
が、全速力で走った勢いだけはどうしようもなく、俺はそいつを抱えたまま見事にすっころんだ。
「痛ぇー」
俺の、両膝はすりむけていた。
とにかく、保健室だよなあ。
俺の膝にしても、こいつにしても・・・・
俺は、立ち上がりそいつを抱きかかえた。
その時、俺は初めて自分の腕の中にいるそいつの顔を見た。
透き通るような白い肌、苺のように赤い唇。
額にかかる髪の毛は、金色だった。
そいつは、とても綺麗で・・・・
唯、見惚れていた。
そして、そのまぶたがぴくりと動いた。
ーーー気がついたのか?
俺は、息を潜めてその瞬間を待った。
瞳は、何色なのか・・・・
俺は、知りたかった、見たかった。
そして、ゆっくりと瞼が開き、その瞳が開かれる。
その色は、透き通った深緑の森・・・
・・・・俺は息を呑んだ・・・
しかし、その瞳を見れたのは、僅か一瞬の事だった。
「あ・・・うぅ・・・」
苦し気な声をあげて、その瞳はまた閉じられた。
俺は、その声に我に返り慌てて保健室へと向かう。
病人を運ばずに、こんな陽射しのきつい所でぼっとしてるなんて・・・
今の、俺って・・・・どれだけ見惚れてたんだ?
そんな事を思いながらも、俺は腕の中のそいつを落とさないようにきつく抱きしめた。
PR