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いつもの日常。
繰り返される日々・・・
それらは、『確かな事』か?
本当は・・・
全てが不確かで
全てが曖昧で
全てがあやふやなのかもしれない。
「確かな事」など何もない
『僕』が『僕』である認識さえも・・・
不確か・・・ではないか?
『真実』
『確かな事』とは何だ?
不安感・・・
焦り・・・
『いつもの・・・。』

懐中時計 posted by (C)Luce
夢を見たような気がした。
どんな夢なのかさえ、思い出せない。
僕は、ベットから降り窓を開ける。
少し、冷たい空気が入って来た。
その冷たい空気にあたって、僕の思考もようやく目覚めて来る。
・・・珈琲をいれなきゃ・・・
僕は、階段を降りながら考える。
リビングに入って、珈琲をいれる。
リビング中に、珈琲の香りが広がる。
僕は、そろそろ訪れるであろう『客人』を迎え入れるために・・
庭先へと続く窓の鍵を開けた。
外は、とてもいい天気だった。
雲一つ浮かばない、青空・・・
それに、惹かれるように僕は、庭先へと降り立つ。
珈琲の入ったカップを手に・・・
そろそろだ・・・
彼が来る・・・
『彼・・・?』
彼とは、誰だ?
僕は、考える。
わからない・・・
彩り豊かな花を朝日が照らしている。
花が綺麗に咲き誇っている。
花・・・
『綺麗だね・・・・』
頭の中で、誰かの声が聞こえた。
誰の声だっただろう?
思い出したくて僕は、花を見続けた。
不意に、朝日が僕の目に刺さる。
僕の、思考を遮るように・・・
眩しくて、目を開けてはいられない。
小枝を踏む音に気付いた僕は
薄く目を開いた。
大きな木に凭れ掛かるように君が立っていた。
いつもの様に・・・
何時もの君が、笑顔を浮かべて僕を見ている。
『いつもの・・・?』
『いつもの君は・・・?』
何かが阻むように、思い出せなくて・・・
僕は焦る。
『いつもの君・・・・』
その言葉に違和感を覚える。
違和感ーーー
いつもの光景、いつもの会話、繰り返されたはずの日常・・・
それを思い出せない。
「いつもの」
いつも、僕はこの庭先で君とどんな会話をしていたのだろう?
曖昧な記憶。
曖昧な・・・
不鮮明な記憶。
焦り、僕は君を見る。
何かを思い出せないかと・・・そう思い、
君を見た。
『君は、誰?』
『いつもの・・・?』
『何?』
『わからない。何もわからない。』
君から見たら、僕の様子はいつもと違っていたのだろうか?
君は、不思議そうに僕をじーっと見ていた。
何かを期待する瞳で・・・
待っている・・・
『何を・・・?』
君は、僕に何を期待しているというのだろうか?
わからない。
あやふやで曖昧で不確かで・・・
『君は、誰・・?』
『僕の・・・「何」・・?』
「僕」は・・・誰?
「僕」は・・・・?
どうして、ここにいるの?
「僕」・・・・は・・・?
わからない。
僕自身でさえも、あやふやで不確かな存在。
「僕」が「僕」である認識・・・
それは、何処から来るのか?
自分の顔、声・・・
何もかも・・・はっきりしない。
『いつもの君」と「僕」がどんな「関係」なのかわからない。
焦り、不安がこみ上げる。
僕は・・・
救いを求めるように君を見た。
君は、そんな僕の不安を見越したように・・・
僕を包みこむように・・・微笑んだ。
その中で、僕の中で何かが生まれた。
あやふやで・・・曖昧で・・・
不確かな・・・僕の中で
唯一つだけ、何かの救いのように・・・
確かな事は・・・
『君は、僕を愛している。』
どうして、そんな事がわかるのだろう?
全てが曖昧なはずなのに・・・
人の心など、読めるわけがないのに・・・
それでも、僕にはわかる。
はっきりと「確信」する事が出来るんだ。
『君に愛されている僕自身を・・・』
そしてーーーーー
全てが曖昧で不確か・・・
だけど、唯一つだけはっきりしている事。
僕の心の中で君は『特別』だということ。
過去、現在、未来もーーー
『君』がいなければ『僕』の存在する『意味』がないって事だけは『確かな事』だ。
全てが曖昧
全てが不確か
全てがあやふや
存在しているのかさえ確かでない僕の中で
唯一つの『真実』
僕は、君に愛されている・・・
そして・・・
僕も、君を愛している・・・
それだけが「確か」なこと。
僕の存在する意味。
それは、君に必要とされ君に愛されている
それだけだ。
それだけで、僕は存在する。
全てが曖昧
全てが不確か
だから、僕等は抱き合う。
曖昧で
偽りばかりの中で
唯一つめぐり合った「真実」だから。
「いつもの」
それらは、不確かな日常のささいな不安にすぎない。
僕には君がいて
君には僕がいる
僕達は愛し合っている
それだけでいいんだ。
他の事などどうでもいい。
朝日のあたる庭で・・・
僕達は、珈琲を飲みながら会話をする。
飲み終えた後、君は僕を優しく抱き寄せる。
キスを交わし、抱き合い僕等は一つに溶け合う。
明日の朝には、また僕は全てを忘れているのだろう。
それでも、僕は必ず思い出すよ。
君が、ここにいる限り。
君が、僕を愛してくれる限り。
「確かなこと」
君が、僕を愛していること。
僕が、君を愛していること。
あやふやで
曖昧で
不確かな記憶。
僕は、記憶を持たない。
持つ事が出来ない。
けれど、君が僕を愛している事だけはわかる。
だから、僕は君を愛するんだ。
忘れても、何度でも君に恋をして
僕は、君を愛する。
君が、僕を愛してくれる限り。
君が、僕を忘れてしまったら
僕は、僕自身さえ
認識する事無く「無』の存在になるだろう。
おわり。