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あれが全てのきっかけになった。
いつもの帰り道で珍しく、アイツが話しかけた。
「海里さん」
「あー、どうした?」
あいつは、照れくさそうに言った。
「俺、初めて彼女が出来ました。」
心が、ちくちくと痛んで頭が真っ白になった。
何を言えばいいのかわからなかった。
だけど、口は勝手に動いてた。
「そうか、じゃあこうして帰るのも止めた方がいいな。後・・・弁当も別に食った方が・・・・」
その俺の言葉を、アイツは遮り慌てて言った。
「え、いや、あの、でも・・・・俺は、登下校も、昼も海里さんと一緒がいいです。」
その言葉を聞いた途端、さっきまで感じていた心の痛みがあっさりとひくのがわかった。
それどころか、何故か口元が緩んでしまう始末で・・・
俺は、それをごまかす為に無言でいつもより足早に歩いた。
「あの、海里さん・・・・別にしないといけないですか?」
その声に振り返ってみたら、あいつはさっきと同じ場所で立ち尽くしてた。
「まあ、お前の好きにすれば」
俺が、そう言うと。
「はい、そうします。」
と、いつものようにあいつは俺に駆け寄って来たのだった。
それは、今から一ヶ月以上前の事だ。
それからは、あいつから彼女の話なんて聞かない。
だから、続いているのかさえも知らなかった。
それ以前に、興味がなかったから聞かなかった。
だから、俺は相変わらずな日々を過ごしてた。
その日は、家の用で巧が学校を休んだ日だった。
俺は、門を出た所でその女にいきなりなじられた。
「最上先輩、白井君をそろそろ自由にしてくれませんか?」
「ああ?」
何を言われたのか、意味がわからずに立ち止まった。
それでも、体を震わせながらも視線は逸らさずにそいつは言った。
「白井君は、最上先輩の家来なんですか?」
「はぁ?どうして、あいつが俺の家来なんだ?」
「家来じゃないんですか?じゃあ、どうしていつも用事をいいつけるんです?」
「別に、用事を言いつけたりなんか・・・あいつは・・・」
あいつは・・・・
あいつは・・・・
あいつは、好きでやってるんだ。
「じゃあ、約束してくれませんか?」
「ああ?何を?」
「わたし、白井君と付き合ってます。」
「巧の彼女?ああ、そういえば・・・・」
そんな話を聞いたような気がする。
だから・・・?
「だから、何?」
「だから、邪魔をしないで欲しいんです・・・」
「あー?邪魔するなだと?俺が、何を邪魔してるって?
わけのわからない事を言うんじゃねー!!」
何だか、とても気分がむしゃくしゃした。
なんで、こんな女と巧は付き合ってるんだ?
女の相手をする気を失くした俺は、まだ何かを言ってた女を無視して背中を向けた。
巧の彼女だという女に言われた言葉・・・
ーーー邪魔をするな
その言葉が、俺をイライラと嫌な気分にさせた。
迎えに来ていた車に乗っても、気分は変わらずにいた。
俺は胸元から、携帯を取り出すとあいつに電話をした。