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雨の中で気まぐれで拾った子猫
洗って見るとペルシャだった。
強がりながら
寂しいと訴える瞳
何時の間にか手放せなくなっていた。
しがみついて離れない手
何時の間にか愛しいと思った。
俺が愛した。
愛してしまった。
あれは・・・弱点になる。
失うかもしれない。
それでも・・・・・と。
側に置いておきたい。
何処へもやりたくない。
同じ過ちは二度と繰り返さない。
守り抜く。手放さない。
俺に出来ない事は無い。
強くなる。
今以上に
弱点ではない。
何があっても守り抜く
今度こそ・・・・
愛しい者を・・・・
失うのは・・・・
二度と・・・・
同じ轍は二度と踏まない・・・・
ーThe tears of happinessー
「こんな関係・・・そろそろ辞めないとな」
何時もの、行為のあと、あの人がぼそっと呟いた。
甘いけだるさからの中から、冷たい現実と向き合う。
「そうだね・・・」
・・・・・嫌だ・・・・・
傷ついた心を知られたくなくて、偽りを吐く。
「・・・・・また連絡する。」
出て行くあの人の背中。
・・・・・・行かないで、側にいて
叫びそうになる唇を、押さえるために、唇を噛む。
切れるほど。
パタン・・
扉がしまる。
目からあふれる涙。
「馬鹿みたいだ・・・俺・・・」
・・・・・・愛されたいとか、望んでも叶わない夢は持たない。
あの人は誰にも本気にならない。
それでも、月に2度は会う。
体だけの関係それでもよかった。
それ以上・・・望まないのに。
それさえも・・・・
疎まれないように一生懸命してきた。
せいっぱい、遊んでる振りして、
本気じゃない、数多い恋人の一人だと思わせた。
割り切った遊び。
大人の関係。
『こんな関係・・・そろそろ、やめないとな』
頭の中で繰り返す、あの人の言葉。
・・・・・・・そろそろ・・・
後何回会えるだろう?
今すぐじゃない
「そろそろ」
SEXの最中、夢中で何か叫んだのだろうか?
気を失っている間に・・・
そんな、はずはない。
涙は途切れず、枕をぬらす。
あの人の香りがする。
シーツに、体に・・・・
切なくて苦しくなる。
泣き疲れ、手足を丸めて眠りに落ちた。
・・・・・・・・
鏡に映った、顔を見て馬鹿だなって思う。
泣いたので、まぶたは腫れて、目は充血している。
今にも、泣き出しそうな印象の口元。
薄い胸。男の体。
体に残る、昨夜の情事の痕。
「馬鹿だ、俺は・・・・」
手早く、シャワーを浴びて、ホテルを後にした。
淡い茶色の髪。
何処か人の目を惹く雰囲気・・・
そんな事に、彼は気がつかない。
タクシーを拾って、気分を切り替えて仕事にむかう。
ーーースタジオ@ーーーー
シャッターの音、フラッシュの光。
「いいよ、直樹こっちむいて!!」
カメラマンの指示で動く。
軽やかに、歩く、笑う。
誘うように手を伸ばす。
「そう、髪をかきあげて、こっちをにらんで」
くるくると、表情の変わる
笑う、にらむ。怒る。
「はーーーい!!よかったよ、直樹、お疲れ」
ふっと、直樹は顔から表情を消す。
誰かに見られている。
スタジオのドアにもたれかかるように、あの人が立っている。
直樹の視線に気がつき、冷たく笑う。
あれから、2ヶ月たっていた。
・・・・・・怒ってる・・・
どうして?
連絡を無視したから??
直樹の体がこわばる。
「あ・・・」
身動きが取れない。
「これは、東城様、」
マネージャーの菊池が慌てて近寄る。
「・・・・東城・・・?」
おうむ返しに直樹は呟く。
何時の間にか直樹は座り込んでいた。
菊地が慌てて直樹を立ちあがらせる。
「直樹、ぼんやりしていないで、挨拶は?」
「あ・・・直樹です。」
間の抜けたような声。
直樹は目の前に立っている東城を見つめる。
「はじめまして、東城尚孝です」
何の感情もこもっていない声。
手を伸ばされて握手をする。
強い力。
・・・・痛いぐらいに・・・
「・・・・はじめまして・・・。」
「直樹、今度東城・・・・」
菊地が何かを言っている。
手をつかまれたまま、直樹は立ち尽くす。
気がつかないうちに、東城の手を自分が握って離さないことに気がつき。
「あ・・・っ・・・」
この手を放したくなかった。
さり気なく、東城が直樹から手をはなす。
離れて行く手・・・
・・・・・嫌だ!!
思わず手を伸ばし、腕をつかむ。
「あ・・・っ」
何を言えばいいのかわからず、言葉を失う。
その手を捕まれて、逃がさないとでも、いうかのように、きつく握られる。
「菊地さん、直樹くんをお借りして差し支え在りませんか?」
「ええ・・・もちろん」
スケジュールのやりくりを頭で立てながら、菊池は答える。
・・・・・・この人には逆らえない・・・
「直樹、それじゃ、明日は9時入りだから」
念をおして、菊池がスタジオから出て行く。
次の瞬間、きつく抱きしめられる。
おずおずと、背中に腕を回す。
信じられない気持ちで。
「どうして・・・こなかった?何度も電話したのに?」
涙があふれる。
「もう・・・会わないって言われるのが怖かったから・・・」
「馬鹿だな・・・・・」
優しく涙を拭ってキスをされた。
「あの言葉の意味は、そんなんじゃない、恋人になってくれ、って意味のつもりだった・・
あんな風に体の関係だけではもういたくなかった。
直樹一緒に暮らそう。俺はお前を愛している」
・・・・・愛している。
聞けるはずの無い言葉だった。
夢を見ているのだと思った。
信じられなくて涙があふれる。
東城は激しく泣きじゃくる直樹をあやすように揺さぶる。
「直樹・・お前は?言ってくれないとわからない・・・」
「愛してる。ずっと苦しかった、辛かった」
・・・・・もう苦しまなくてもいいんだ・・・
もう・・・ごまかさないでもいいんだ。
きつく抱きしめられ、幸せを感じる。
「泣くな・・・どうしたらいいのかわからなくなる」
東城の言葉に余計に涙が出てくる。
幸せの涙・・・・
end