[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「天気いいですよねぇ」
あいつが、笑顔で振返りながら俺に言った。
それだけで、一瞬鼓動が跳ね上がってしまう。
こいつの笑顔は、心臓に悪いと常々思っていた。
「本庄さん?」
返事をしなかった俺を不審に思ったのだろう。
あいつは、上目使いで見上げ聞いてきた。
それだけで、魅入られるようにその瞳を見つめてしまう。
あいつの瞳は大きく、普段は茶色っぽいのだが、
感情によって瞳の色が変化する事に、最近俺は気がついたばかりだった。
その瞳にひきつけられ、
その甘い笑顔にだまされて、
気がついたら俺は、好きになっていた。
だから、あの瞬間。
ーーーその存在が消えてしまうかもしれない。
あの時、どれほど恐怖を感じた事か!
こいつには、わからないだろう。
その時に、やっと自覚した。
ーーーこいつを失うわけには、いかないと。
ーーー側にいて欲しい、好きだ。
「本庄さん?」
あいつの、心配げな声に我に返る。
肩に手を伸ばし触れて、
ああ、ひどく痩せてしまったなと思う。
軽く引き寄せると、体は簡単に傾いてきた、
その耳元に、気がつけばささやいていた。
「お前が、好きだ」
だが、あいつの反応と来たら、
「えっ?」
どれだけ、勇気を振絞って言ったのか・・・なんて
きっと、こいつはわかってないそう思うと。
「何度も言わすな」と、つい怒鳴ってしまう。
そうそう、「好きだ」なんて何度も言えるものか・・・・
「・・・・・!?」
ーーーー何を口走ってしまったのかを悟った。
しまったと思った、
どうして言ってしまったんだろうと、
後悔したのと同時に、かあっとしてしまい、きっと顔が赤くなってるに違いないと思う。
あいつが、俺の顔をまじまじと見るものだから、
余計に恥ずかしくなり、またかあっとなった。
そんな俺をみて、あいつは笑い声をあげて笑い出した。
笑うあいつを見て、思った。
確かに、俺らしくない事をしてしまった。
でも、そんなに笑わなくてもいいんじゃないか?
そう思うと、理不尽なのかもしれないが腹が立って仕方がない。
「もういい!!」
と言いながらも、また、らしくない事をしてると自覚する。
どれぐらい時間が過ぎただろう、
ふと、気がつくと妙にあいつは静かになっていて、
その顔が真っ赤に染っていた。
どうしたんだ?
急に、心配になってしまう、
俺の気持ちは、迷惑だったのだろうか?
だが、冷静に考えてみれば・・・・
嫌なら顔は真っ赤になるのはおかしいだろう。
だから俺は、あいつを抱き寄せてキスをしながら・・・・
耳元でもう一度ささやいた。
「好きだ。」
あいつの顔が、もっと赤くなった。
終わり