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僕と君は友達だよね。
それ以上でも・・・それ以下でもないよね。
でも、僕と君は友達だけど、僕と君とは親友じゃないよね。
だって、君にはもう親友がいるから。
倉内緑樹という親友がいるから・・・
僕なんて人間・・本当は、君には必要ないんだ。
010130 posted by (C)[child's play]
その日、君は僕に突然話し掛けてきた。
僕は、驚いて俯いてしまった。
そんな、僕の様子など気にも止めないで君は言った。
「向坂、「しんゆう」ってどんな字を書くと思う?」
そんな風に、たずねられて僕は君が何を言いたいのかわからなかった。
考えながらも僕は、ノートの端に「親友」って書いた。
君は、そのノートを見て笑いながら言ったんだ。
「なんだ、向坂もそうなのか・・・他の奴らと一緒なんだ・・・」
他の奴と一緒・・・・
君にとっての特別が倉内だけだと認識する瞬間。
僕は、君のその一言で簡単に心が暗闇に沈んでいってしまう。
「俺はさ・・・・」
君は僕から、ペンを奪って綺麗な流れる動きでノートに文字を書いていく。
一瞬だけ指が触れた・・・それだけで・・・顔が赤くなってしまう。
僕は、必死に頭を切り替えて君の手元を覗きこんだ。
そこには、「心友」と書いてあった。
「俺はさ、「親友」よりも、「心友」だって思うんだ。」
少し得意そうに僕を見て、君は言った。
「そうだね・・・心からの友達か・・・似合っているかもね。そっちの字の方が・・・」
君と倉内みたいにさ・・・心から理解しあってるのなら・・・
心友のほうが・・・
僕は・・・
君にとって・・・そうじゃないんだろうけれど。
親友ではない。
ただの友達・・・
でも・・・もしかしたら・・・
それさえ違うのかもしれない。
僕の心の中が、ゆれた。
さざなみのように不安が芽生え・・・
衝動的に、口を開いた。
「僕は・・・」
急に、大きな声を出した僕を君は驚いたように見つめてた。
そんな君の顔を見て、僕は口を閉ざす。
言いかけた言葉を胸にしまって僕は笑ってごまかした。
「ごめん、急用!!」
そのまま、僕は君の顔を見ないで教室を飛び出した。
心の中に渦巻いている言葉を抱えながら・・・
『君にとって、僕は友達なのかい?』
『君は・・・・』
君は、何を思って僕に聞いたのだろう?
君にとって、僕はどういう「存在」何だろう?
口に出して聞く事は簡単だ。
でも、その時の君の表情を僕は見るのが怖いんだ。
僕は、臆病だから・・・
それでも、僕はいつか君に問い掛けるだろう。
君にとって、僕がどういう存在なのかって・・・
出来るなら、その時に『心友』と言ってもらえるように僕はなりたいと思う。
その為には、僕は君の視線をまっすぐに受け止めるようになりたい。
おわり