忍者ブログ 夏の予感・・・ てすと中MOON-NIGHT&LOVERS-KISS
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暑い・・・

夏の午後・・・



 

プールに入って泳いでいるクラスメイト達を、ぼんやりと眺めている。
夏風邪をひいてしまった僕は、しかたなく見学をしていた。





やがてクロールの100メートル競争が始まる・・・
50メートルのプールはにわかに活気だつ。







ドルフィン「プール」

ドルフィン「プール」 posted by (C)mayi

 

 

 

その中で、僕の視線はただ一人だけを追いかけていた。

 

あいつだ・・・

綺麗なフォーム・・・
広い肩についている長い腕が、水を力強く掻き分ける。

折り返しまでに、彼と水泳部のエースの二人だけが抜け出していた。
そして綺麗なターン。

あいつは、どんどん水泳部のエースを引き離してゆく。
そしてトップで泳ぎぎってしまった。

すごい・・・
思わず溜息がもれる。

プールから上がったあいつは僕の方を見て、小さなガッツポーズを決めてみせた。
そして、何を思ったのかこっちへ歩いて来ると、僕の目の前に立った。

濡れた髪に雫が光ってる。
太陽を背負った彼の笑顔が、とても眩しい。

「よお、見てたか?・・・ま・・・こんなもんだ。」

にやりと笑いながら、あいつは短めの髪をサッと掻き揚げた。
髪から水滴が弾け、僕の頬にかかる。

「つめた・・・」

「あ、悪い・・・かかったか?」

あいつは、前かがみになって、僕の頬にかかった水滴を指で拭う。
プールから上がったばかりの彼の指が、ひんやりと頬に心地いい。

だけど、あいつの指が、愛撫するようにゆっくりと動きだすと
僕の鼓動は、急に跳ね上がる。

「な・・・何を・・・」

あいつの顔が・・・裸の胸が・・・息がかかりそうなほど近い。

自分が赤面しているのがわかる。

そんな僕の顔をじっと見つめていたあいつは・・・
やがて、その長い指で僕のあごをクイッと持ち上げた。

「えっ・・・」

いつもは、ふざけているあいつの視線がひどく真剣だ。
僕はそのまま、何も言えずに固まってしまった。

「なあ、俺のこと好きになれよ。」

「なっ・・・・」

驚いて、目を見張った僕の前に、あいつの笑顔があった。

「返事を聞かせてくれないと・・・今ここでキスしちゃうぞ。」

程よく日焼けしたあいつの顔に、白い歯がこぼれる。

「・・・・馬鹿・・・・」

好きになれよだって・・・

そんな事今更言うな。

まったく、人の気も知らないで・・・・

返事を促すみたいにあいつの指が僕の唇に触れる。
そんな、動きにさえ顔を赤くする僕はなんて間抜けなんだろう。

「返事は・・・・?」

あいつは、顔をどんどん近づける。

「馬鹿・・・ここが何処だと思ってるんだ。」

思わず叫んだ僕の心境なんて無視してくれてさ。
あいつは、言うんだ。

「何処って、プールだろ。」

「皆・・・見てるじゃないか・・・」

「じゃあ・・・誰も見ていない所でなら・・・いいって事だよなぁ・・・」

「・・・・」

何も言えず・・・
うつむく事もできず・・・

僕は、あいつの顔をそれ以上見ていられずに、目を逸らした。

「可愛いよな・・・お前・・・」

あいつは、にやりと子供みたいに笑うと、
僕の耳を軽く噛んで言った。

「俺は、誰にどう思われても平気だぜ・・・」

 


クラスメイト達のはしゃぐ声が、どこか遠くに聞こえている。

今年の夏は・・・
忘れられない夏になりそうな・・・

予感・・・・

 

 

おわり

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2009,06,21

素敵サイトさま、1件。1月31日。じゅん創作、運命は、奪い与える。本編、番外。全掲載完了。
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